【米国株を占うモノサシ】思考:市場を占うのに良い指標とは何か? -1
誰しも、「持っている株が絶対に上がる!」と確信したいのでは?と思います。
よって株を買うときには、きっと様々なことを勘案しますよね。割安か割高か?成長具合は?市場の状況は?などなど。
今回は、どのような指標があるか?どんなときに使えそうか?を勉強しつつ、自分の解釈も上げていきたいと思います。
3つの要点
第1回目は、マーケット部門在籍の現役銀行員、アツさんによる計10個のツイートを引用しながら考察します。(アツさん、いつも参考にさせていただいております。大変勉強になっております。ありがとうございます。)
米国株式市場がどんな方向に進もうとしているのかの見極めって難しいですよね。私はマーケット部門にいますが毎日迷いまくっていますし、間違えます。
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
とはいえ、15年以上金融の世界にいるので「コレは使えるな」だったり「今はコレだな」というものは確かにありますので、共有していきます。
以前(昨年秋頃)ツイートした内容から現状を踏まえて修正しました。すべて最低限必要な、ベーシックなもの。
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
①ラッセル2000
②10年名目金利
③10年実質金利
④金
⑤SOX指数
⑥新興国の株価指数
⑦ビットコイン
⑧テスラ
⑨VIX
⑩マネーストック(M2)
①ラッセル2000
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・米国の代表的な小型株指数
・足元の米国株式市場を牽引する最も強い指数
・背景にはコロナ後の大規模財政出動に対する期待感がある
・マーケットの「勢い」を把握する
ラッセル2000、これは今年以降も有用な指標と思います。
バイデン氏は、中小企業への財政出動を示唆しています。これに先回りして、中型・小型株は値動きが良くなっています。
2020年度、SP500のETFであるSPY、VOOに対して、全米株式ETFであるVTIがアウトパフォームしました。これは中型・小型株の存在感が強かったが、大型株揃いのSP500に対しては影響が小さかった結果といえます。
②10年名目金利
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・10年米国債の利回り
・同金利の上昇・下落は理論的に算出される株価を下げるし、上げる
・現状、ハイテクセクターの株価動向を決めうる存在
・以前ほどリスクオン・オフ時の目安になってない(気がする)点には注意
③10年実質金利
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・名目金利から期待インフレを引いたもの
・コロナショック後の3/23以降、マイナス金利が常態化し、株高を支えた
・”実質金利のマイナス” は株や不動産、金などの魅力を相対的に高める
・実質金利の上昇転換は株価上昇のトレンドを止める可能性を生じさせうる
ここはセットで考えます。10年債の金利関連は、【確認必須】と思われます。
じっちゃまこと広瀬さんも、10年債金利動向だけ見ておけ!と主張するほどの重要指標です。
ちなみに近年は、10年債利回りが歴史的に低水準であり、株高の原動力の一つと考えられています。これ一方で、金利が上昇し始めると株式市場は上昇圧が弱まることを示唆しており、ブルマーケットの継続可能性を測る重要なモノサシといえます。
④金価格
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・利息がつかない金融商品
・故に、ゼロ金利下、実質金利のマイナス金利下では圧倒的に魅力的
・ドルとの逆相関も知られる
・ゼロ金利が始まったリーマンショック以降、最強の投資対象 ”だった” 。金価格のトレンド変調は株式市場の見通しも悪化させる可能性あり
ゴールドは安全資産とされていました。限られた埋蔵量、先進国・新興国で共通するラグジュアリー意識、金属としての純粋に優れた性質など。希少価値は高まるばかりです。
株式市場に暴落が起きると、リスクオフのために金価格が跳ね上がることもあります。
例えば国家や銀行の崩壊が起こると、おカネは紙屑になりえます。これが起こってしまえば、おカネを何枚積んでも、食料などに変えてくれないというリスクがあります。
その点、金は大抵どこに行っても「希少価値がある」とみなされるでしょう。物々交換の時代に遡るような事態が起こっても、金は価値を持ち続けると想像できるのです。これがリスクオフ資産としての価値の考え方です。
2020年度、コロナショック以降に金価格は大きく上昇しました。2021年度も、(2020年度ほどではないものの)年初来ではプラスになると予想されています。
⑤SOX指数
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・スマホやPCなどに使われる半導体関連の30銘柄を指数化したもの
・景気との連動性が高いといわれる(値動きはナスダックに近い)
・定期的にチェックして半導体セクターの位置を把握する
私はあまり使っていないので、さらなる勉強が必要なところです。
景気との連動を測るのに使うのでしょうか。
⑥新興国の株価指数
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・ボラタイルな市場
・理由は先進国に比べて市場のパイが小さいから
・先進国に比べて、同じ量のお金が市場から流出しても株価の下落率は高くなりがち
・マーケットのセンチメントに対する影響あり
・まずは上海、香港、インド、ブラジルの4つで十分
資金を投入するタイミングを間違えなければ、良い投資対象となりえます。
市場が大きく、安定した先進国は緩やかに安定した成長する一方で、市場が小さく、まだ先行き不透明感のある先進国は、成長のインパクトが大きいことが予想されます。
なお、中国は今年の投資対象として良いように思い、注目しています。これは別記事にて説明予定です。
⑦ビットコイン
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・金融緩和下、金(GOLD)に変わる最強の投資商品
・「デジタルゴールド」としての側面がある(が、値動きは完全なリスク商品)
・個人に人気であり、同商品の暴落はマーケットセンチメントを大きく悪化させる点に注意
個人的な所感としては、ツイートに述べられるようにビットコイン=デジタルゴールドと考えています。
限られた埋蔵量、通貨に左右されない存在量は、通貨価値の希釈が起これば相対的に価値を増します。
近年の暴騰は、ビットコインの流動性が高まるニュースや、コモディティーとしての地位を確立しつつあるニュースによるものです。
とても安全資産とは思えないボラリティー(ただしハイパーグロース株よりは低いといわれている)のため、投機的な側面は強く、大きなポジションをとるには相当の覚悟が要るでしょう。
⑧テスラ( $TSLA )
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・足元で投資家に最も人気がある銘柄
・バイデン政権下、クリーンエネルギーの代表的な銘柄に
・この銘柄がコケると含み損を抱える投資家が増えるのでマーケットのセンチメントは一気に悪化する
今、ブルマーケットをけん引する存在がテスラだと思われます。
これは別記事にて考察予定ですが、TESLA株は、寄せられる期待がパンパンに膨れ上がっている!と思われながらも、上昇を続けている状態です。
かつて、同じ状況にあったのがアップルかと思います。市場をけん引する銘柄の値動きが悪くなるとマーケット全体のセンチメントが悪化し、他の銘柄にも大きく影響します。
ポジションの有無にかかわらず、テスラ株は注目すべき状況にあります。
⑨VIX
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・VIXはオプション料(プレミアム)から逆算して算出するインプライドボラティリティ
・買う権利だろうが売る権利だろうが、オプションが人気になれば(将来変動が大きくなると予想する投資家が増えれば)VIXは上がる
・主にプロのセンチメントを探るために見る(上昇時は下方向を警戒している)
VIXは恐怖指数ともいわれます。株式市場に対する警戒感が増し、リスクオフのセンチメントになると上昇します。
私の場合、他の指標と合わせながら、違和感のある動きを抽出するという活用をしています。
例えば、NASDAQやSP500の先物は上げている、しかしVIXも大きく上がっている…こんなことが2020年秋に起こりました。これは矛盾する動向が起こった例といえます。
こういった場合には、下落調整が入る可能性が高まります。警戒感を強めるのに使うべきです。
なお余談ですが、過去のVIXと主要指数チャートをもとに、VIXが一定値を超えたタイミングで投資をした結果、安定して大きなリターンだったという調査結果もあります。
⑩マネーストック(M2)
— アツ@Bank Sales Trader (@atsu_banker) 2021年1月7日
・Fedの量的緩和のボリュームを数値で確認する指標
・市中に流通するお金の量が増えれば結果的に株式市場に流れるお金も増える。結果、株価は上がる
・「緩和する」とパウエル議長が口では言ってても、M2はたいして増えてないなんてこともわりとある
以上です。
パウエル議長の発言の裏取りに使えます。株式市場は、議長発言をもとに期待だけで動く側面もあるため、裏取りが重要になり得ます。
そのほか、今の株式市場は「バブル相場」とされて警戒感を持つ方もいるかもしれませんが、まさにマネーストックの膨張で今の相場を説明できます。
これは別記事にする予定ですが、簡単に言えば「世界のおカネは増えているのに、企業の本質的価値は変わっていない。ゆえに、相対的に株価は高くなる」という現象が起こっているにすぎません。
謎の期待感だけで上がっていく、無根拠なバブルではなく、足元がしっかりしたバブルが昨今の状態といえるでしょう。